基地ログ!

旅するカッパのチャノマハウス。時々開店、河童バー。

町としゃべる

ロサンゼルスでバスに乗るなら、空のきれいな日をオススメする。

なぜなら、バスをたくさん待つことになるから。

この町の空の青さと高さは、

「ま、いいんじゃない?」って気にさせてくれる。

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「え、車ないの?どうやって生活してんの?」

と、バスライダー生活をしていると、よく驚かれる。

最近はUBER(ウーバーです。ユーバーではありません)とかlyft(リフト)を

利用するので、ほとんど家で仕事してる分には、それほど困ることもない。

 

天気のいい日は、空を見る。

バスや電車の窓から街を眺める。

乗ってくる人たちをそっと観察する。

 

同じロサンゼルスでも、車があるのとないのとでは、

生活感が全然違う。

 

昨日は、ある日系の大先輩を訪れた。

珍しく、進路に迷いが生じたので、

その人にいろいろ相談したいことがあって行った。

ちょっと解決した。

 

行きはUBER、帰りはバス。

スマホで調べた路線バスのスケジュールでくるはずのバスが来ない。

待つ。風が強い。

 

以前、時々、電車でダウンタウンに通っていた時、

乗り換え駅のプラットホームで結構待たされた。

フリーウエイの上下車線の間にあるプラットホームは、

遮るものもなく、ノイズと風に晒されて、

それでなくても、低所得者層の多い乗客が、

余計惨めに見えてしまう。あ、アタシか?w

 

さらにひどいのは、トイレがない。

公共交通機関の客は、この町では、人間扱いされてない。

 

昨日のバスの中では、

黒人のおじいさんがスマホをいじってた。

以前には見られなかった光景だ。

 

フードトラックをやってた頃によく通った交差点に

スタバが建設中。

「こんなとこまでスタバができるんだ」

スタバができるのは、いい傾向だ。

数年前には、数ブロック先にマクドナルドができた。

そんな店ができるような場所じゃなかったのになあ。

 

瞬間、時の流れを思考が捉える。

「そりゃ、こんだけ長く住んでりゃ、町も変わるわな」

 

バスでゆっくり眺めながら過ぎていく風景が、

自分のここでの生活と重なる。

 

「アンタ、最初はこの町のこと、好きじゃなかったわよね」

 

町がバスに座ってる東洋人の女に話し始める。

 

「アーティフィシャル(人工的)で嫌だって言ってなかった?」

 

心でうなづく。

 

「なんで、こんなに長くいんのよ?」

 

なんでだろ?と自問する。

 

「結局、居心地良かったんじゃない?」

 

そうかもしれない。

居心地良すぎて、今は気持ち悪いくらいだ。

 

今日は金曜日で、

チャノマハウスには、いつものKOGI BBQのトラックがきてる。

下から聞こえてくる笑い声、お客さんの会話。

 

歩いてきた道、経験したこと。

失敗も、成功も、全部一緒くたに、

受け止めてくれたこの町の懐の広さ。

同じような経験を共有する人たち。

 

昨日のバスの旅のせいで、

町とのおしゃべりが始まって、

キーボードの音が止まる度に、

いろんなメモリーが、キーの間から溢れ出てくる。

 

ロサンゼルスでバスに乗るなら、

空の青さを確かめてから乗るといい。

 

こんな人工的な町だけど、

住んだら、毎日、こんな青い空が見上げられるんだぜって

話しかけられるから、きっと。